「エンディングノートってどうやって書くの?」「書く時に何かルールとかあるの?」など、エンディングノートの書き方について気になっていませんか?
実は、エンディングノートには特に決まった書き方などはありません。やがて訪れる最後に向けて、家族へのメッセージや大切なモノの収納場所、死後の希望についてなど、自由に書き綴っていけば良いのです。
今回は、終活アドバイザーとして300人以上の終活をサポートしてきた筆者が、自分らしいエンディングノートが書ける「おすすめの書き方」に加えて、「家族に残したい30のメッセージ」などを以下の順に紹介していきます。
この記事を読めば、エンディングノートに書き残したいことをすべて知ることができ、自分らしい個性的なエンディングノートを書きあげることができます。
はじめに、エンディングノートとは?
エンディングノートとは、自分の最後について見つめながら「家族に残したいモノ」や「葬儀の希望」、「感謝のメッセージ」など、様々なことについて書き残しておくノートのことを指します。
まずは、その必要性やタイミング、ノートの種類について触れていきたいと思います。
エンディングノートの必要性について
エンデングノートは、自分の死後に向けてあらゆることを記しておくためのものです。そのため、あなたの死後に様々な目的で活用され、残された家族があれこれ戸惑うことを回避することができます。
たとえば、「自分が最後まで残したいと思ったモノ」や「銀行の預金通帳やクレジットカード」の収納場所、「デジタル遺品」のIDやパスワードなどを記しておくことで、遺品整理を負担なく行うことができます。
さらに「終末医療や介護の希望」や「葬儀についての希望」、あるいは「相続について」など、エンディングノートの活用法は多岐に渡るものであり、その必要性はとても高いと言えます。
エンディングノートを書くタイミングについて
エンディングノートは、年齢などに関係なく、エンディングノートについて気になり出した時に書き始めてみるのが良いでしょう。
たとえば、終活の一環として20代や30代から書き始める人も増えています。自分にもしものことがあった場合に、残された家族に「自分の考えや希望を伝える」ためのツールとしても考えられているからです。
また、エンディングノートは一度書いて終わりというわけではなく、何度でも書き直すことができるため、気軽に書き始めることができます。
エンディングノートの種類について
エンディングノートの一般的な書き方は手書きです。そのため、市販の普通のノートに書き込んで「オリジナルのエンディングノート」を作ることも可能ですし、市町村や終活講座などで無料配布しているものに書き残していくこともできます。
また、特におすすめしたいのは、エンディングノートとして「市販されているタイプ」のものです。1,000円ほどで買えるものが多く、書くべき内容も説明されていて、デザイン性も高いため、自分に合ったものを選ぶことができます。
さらに、スマホアプリを利用したり、PCを用いて書くといった「デジタルエンディングノート」もあり、様々な方法で書き残していけます。
エンディングノートの種類について詳しく知りたい方はこちら!:「今日から始められるエンディングノート|書き方からおすすめまでを徹底解説」
1. エンディングノートのおすすめの書き方
終活の第一歩として普及してきているエンディングノートですが、その書き方には決まったルールなどは一切ありません。
自分の死後に「自分はどんな人間だったのか」といったことや「自分の大切なモノは何だったのか」といったことが自分らしく書き残せれば良いわけです。
ここからは、エンディングノートを書く際に知っておきたい、おすすめの書き方についても紹介したいと思います。
上記の5つのポイントについて詳しく見ていきましょう。
1-1. 心を込めて書くことが大切
エンディングノートは、何から書きはじめてもいいですし、何を書いても問題ありません。あまり難しく考えずに、心を込めて書くことが一番大切なのです。
心を込めて書かれた自筆ノートは、残された人にとって、故人をより身近に感じる遺品になることでしょう。
1-2. 自分の使い慣れた言葉で綴る
エンディングノートを書き進めるにあたって、普段から使い慣れた自分の言葉で書くようにしてください。そうすることで、自分の思いがより伝わりやすくなります。
また、難しい文体や奇をてらった文章を書こうとすると、なかなか筆が進まなくなるので注意が必要です。
1-3. 自分の歴史について書いてみる
エンディングノートに「自分史」について書いてみることをおすすめします。自分史とは、自分の過去から現在、未来について書き記すことです。
まずは、懐かしい時代からこれまでの経験や出会い、苦悩や成果などについて書き出してみてください。さらに、現在の自分についても見つめ直してみてください。
自分の人生についてゆっくりと振り返り、俯瞰して見ることで、今まで気づかなかった「人生の価値」を再発見できるはずです。さらに、未来について「これからやりたいこと」なども前向きな気持ちで書き進めていくことができるでしょう。
1-4. 家族に伝えたいことを整理してみる
エンディングノートは「生前整理の一環」としても捉えることができます。残された家族の負担を軽減できるよう身辺の整理や資産について再確認した後に、エンディングノートに書き残しておきます。
そのほかにも、保険や年金、終末期医療や介護、葬儀についての希望など、家族の負担を減らせることを記していきましょう。
1-5. 書きたいことから書いてみる
市販されているエンディングノートやテンプレートには、あらかじめいくつか項目が設定されており、質問形式などで書きやすく配慮されています。しかし、そのノートを最初のページから順番に記入していく必要はありません。
これは、オリジナルのエンディングノートを作る場合にも言えることですが、自身の個人情報や家族へのメッセージなど、自分が書きたいことや書きやすいことから書き進めていくと良いでしょう。
書き進めていくうちに自分なりのエンディングノートの書き方が見えてくるはずです。
2. 家族に残しておきたい30のメッセージ
エンディングノートに書き記しておきたい大切なことは、遺品整理や相続といった「残された家族の負担を軽減できるメッセージ」や「自分の死後についての希望」などが主になりますが、でもそれだけではありません。
ここからは、自分らしいエンディングノートを書きあげるために「家族に残しておきたいメッセージ」についてまとめてみました。これさえ知っておけば、きっと満足のいくメッセージが残せるでしょう。
下の表にある「家系図」や「大切な人へのメッセージ」など、気になる項目をクリックすると、それぞれの詳しい説明を見ることができます。ぜひ参考にしてみてください。
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2-1. まず自分について書いてみる
エンディングノートに最初に記しておきたいことは、やはり「自分について」という方が多いです。まずは名前や住所、家族構成などについて書き記してみましょう。
さらに、趣味や特技、好きな食べ物などについて記してみるのも、残された人があなたについてあらためて知る機会になるかもしれません。
- 名前
- 生年月日
- 血液型
- 住所
- 本籍
- 家族構成
- 趣味 など
2-2. 自分史を書いて人生を振り返る
「自分史」とは、自身の人生をゆっくりと振り返り、これまでの歩みを文章として書き記すことです。この作業を通じて、自分の人生を見つめ直し、残された時間を悔いなく前向きに生きていくことができます。
また、自分の人生体験を書き残すことは自分にしかできないことです。これまで培ってきた知識や経験を記し、次の世代に残していくこともできるでしょう。
- 幼少期~小学校~中学校~高校~大学
- 就職~結婚~出産
- 家族との思い出
- 子供の成長
- 学歴や職歴 など
2-3. 家系図を書いて家族のルーツを伝える
自分のルーツについて興味がある方や、子供や孫たちに親族たちとのつながりを伝えたいと思っている方は「家系図」を書いてみるのもおすすめです。
自分の家系を辿る手がかりは、古い戸籍の中にあります。どこまでの家系を記すかは自分次第ですが、戸籍は明治時代まで辿ることができます。
また、家系図は一日で簡単に作れるものではないため、古い戸籍を取得しながらゆっくりと時間をかけて書いてみましょう。
2-4. かかりつけの医師や病院について
先々に起こるであろう、意識不明の状態や判断力が低下に備えて、「かかりつけの医師や病院」、その所在や連絡先などについてまとめておきましょう。
さらに、既往歴や持病について、アレルギーの有無、服薬中の薬のことなども記しておくと良いでしょう。
- かかりつけの医師・病院
- 既往歴・持病
- 常用薬
- アレルギーの有無 など
2-5. 終末期医療や介護についての希望
終末期の医療についても元気なうちに自分の希望を残しておきましょう。たとえば、回復の見込みがない場合に「延命措置」をおこなうかどうか、「臓器提供」を希望する場合などにはその意思を示しておく必要があります。
また、介護が必要になった場合についても、自宅での介護を希望するのか、施設での介護を希望するのかなどを記しておくと良いでしょう。
- 延命治療を希望する・しない
- 臓器移植をする・しない
- 献体をする・しない
- 自宅での介護を希望する・しない
- 施設での介護を希望する・しない など
2-6. 家族や友人たちへ感謝の気持ちを伝える
これまで歩んできた人生で得た感動や幸せ、学びや教訓など、一つひとつを思い返しながら、それぞれへの「感謝の気持ち」を自分なりに綴ってみてください。
さらに、友人や仕事関係の方にメッセージを残す場合には、家族の方から伝えてもらえるように希望を残しておくと良いでしょう。
- 妻へのメッセージ
- 子供へのメッセージ
- 孫へのメッセージ
- 両親へのメッセージ
- 親戚へのメッセージ
- 友人へのメッセージ
- お世話になった方へのメッセージ など
2-7. 飼っているペットについて
ペットを飼っている方なら、もしもの時にペットの世話ができなくなってしまったら、その子のことが心配で仕方ないはずです。そんな事態に備えて大切な情報をまとめておくと良いでしょう。
たとえば、食事のことや散歩のこと、かかりつけの動物病院や世話をしてくれる人の連絡先など、先々もペットが幸せに暮らしていける環境を用意しておきましょう。
- ペットのプロフィール
- 食事について
- 散歩など生活習慣について
- 健康状態やかかりつけの医師について
- ペットの世話を頼みたい人の連絡先
- ペットが死んだときの葬儀の希望 など
2-8. 大切なモノの収納場所や処分について
自分の遺品について書き残しましょう。「自分が最後まで残したいと思ったモノ」や「これからも家族に大切してもらいたいモノ」などの収納場所をまとめておけば、遺品整理が行いやすくなります。
そのほかの遺品についても「すべて処分してほしい」「リサイクルできるモノは売ってほしい」など、処分についての希望を記しておくと良いでしょう。
- 最後まで残したいと思ったモノの品名・収納場所・処分方法
- 家族に引き継ぎたいモノの品名・収納場所
- そのほかの遺品の処分方法 など
2-9. 価値の分かりにくいモノに解説を残す
遺品についての補足となりますが、家族にとって「価値の分かりにくいモノ」については、わかる範囲でもいいので解説を残しておくと良いでしょう。
これまで集めてきた「コレクション」や「骨董品」などが、よくわからないモノとして処分されてしまわないように、最悪の事態に備えておきましょう。
- コレクションについての解説・おおよその金額・処分方法
- 骨董品についての解説・おおよその金額・処分方法
- 価値の分かりずらいモノの解説・おおよその金額・処分方法 など
2-10. 形見分けについて
形見分けとは、自分にとっての愛用品を親族や友人などに贈り、思い出を共有することです。形見として贈りたいモノの品名や収納場所、贈りたい人の名前やメッセージなどを残しておきましょう。
たとえば、趣味を同じくする友人に使ってほしいツールを贈るなど、お金には換えることのできないモノについて、書き記してください。
もし、高額なモノを友人などに贈る場合には、遺言書に遺贈として意思表示することをおすすめします。
- 形見として贈るモノの品名
- 収納場所
- 贈る相手の名前・連絡先・関係
- 贈る理由
- メッセージ など
2-11. トランクルームなどがある場合
遺品や遺産について、家族の知らない貸金庫やトランクルームなどに預けているものがある場合には、忘れずに書き残しておきましょう。
貸金庫やトランクルームの有無、その所在や連絡先も記しておくと良いでしょう。
- 貸金庫の有無・所在・連絡先
- トランクルームの有無・所在・連絡先
- レンタル倉庫の有無・所在・連絡先 など
2-12. パスポートや免許証、健康保険証などについて
ここからは手続きが必要なことについてまとめています。まずは、あなたの身元を証明するために必要な「運転免許証」や「健康保険証」、「パスポート」や「マイナンバー」などについて、その番号や収納場所についてまとめておきましょう。
また、健康保険証は入院の際にも使うため、必要な場合にはあらかじめ収納場所を家族に伝えておくと良いでしょう。
- 運転免許証の番号・収納場所
- 健康保険証(介護保険証・後期高齢者医療保険証)の記号・番号・収納場所
- パスポートの番号・収納場所
- マイナンバーの番号・カードの収納場所 など
2-13. 年金について
「年金」については、実際に現在どのような年金に加入しているのか、エンディングノートで全体像を把握できるようにまとめておくことが大切です。
また、年金は本人の死後に届け出る必要もあるため、残された家族が困らないようにしておきましょう。「個人年金」や「企業年金」に加入している場合も、その詳細についてまとめておいてください。
公的年金
- 基礎年金番号
- 年金支払い口座
- 年金受取り口座
- 年金手帳等の収納場所
- 社会保険事務所の所在
- 国民年金基金・厚生年金基金など基金名 など
個人年金・企業年金
- 年金保険の名称
- 会社名・連絡先
- 担当者名
- 証券番号
- 契約者・被契約者・受取人
- 払込終了年月日・年金開始日・年金額
- 保険証書・契約印の収納場所
2-14. 生命保険をはじめ、加入保険すべてをまとめておく
現在、加入している保険についてもきちんと整理してまとめておきましょう。保険について家族が知らず、支払いが滞った場合には解約となり、保険金が支払われないケースがあるので注意が必要です。
残された家族のためにも「生命保険」をはじめ、「医療保険」や「火災保険」、「地震保険」や「自動車保険」など、あらゆる損害保険について書き記しておきましょう。
- 保険会社名
- 支店の連絡先・担当者名
- 保障内容
- 契約者・被保険者・保険金受取人
- 証券番号・証券の収納場所
- 保険期間・保険料支払期間・保険金額 など
2-15. 公共料金の引き落とし情報
自身の名義で利用している「電気」や「ガス」、「水道」といった料金の支払いがある場合には、その会社名や引き落とし口座についての情報をまとめておきましょう。
これまで契約者であった方が亡くなった場合には、家族は公共料金の契約を解約するか名義変更する必要があります。
さらに、契約者の口座が凍結されると引き落とし不能となるため、早めに名義変更をしなくてはなりません。
- 電気料金の会社名・連絡先・引き落とし口座
- ガス料金の会社名・連絡先・引き落とし口座
- 水道料金の引き落とし口座
- インターネット関連の会社名・連絡先・引き落とし口座
- 携帯電話の会社名・連絡先・引き落とし口座 など
2-16. 銀行口座やクレジットカード情報を記入
銀行の口座や預金額ついて記入することは意外とメリットがあります。使っていない不要な口座を減らすことができたり、預金の整理にもつながるからです。
また、銀行の情報を記入する際は「口座番号」や「預金の種類」などを記入したほうが家族も手続きをしやすいですが、もしもに備えて「暗証番号」だけは書かないことをおすすめします。
さらに、契約している「クレジットカードの情報」についてもまとめておくと、あとで手続きしやすくなります。
- 銀行名・支店名
- 普通・定期
- 口座番号
- 預金額
- 預金通帳や印鑑、キャッシュカードの収納場所
- クレジットカードの会社名・連絡先・引き落とし口座 など
2-17. デジタル遺品の情報をまとめておく
「デジタルデータ」の遺品整理は、そもそもPCやスマホのパスワードが分からなければ操作することもできません。
さらに、保存されているデータの処分方法や、ネットオークションやネットサービスといった「デジタルアカウント」についても、整理しやすいようにまとめておきましょう。
また、SNSの中でもFacebookなどは、現在のアカウントを追悼アカウントに変更し、故人の思い出をシェアすることも可能です。そうした希望も付け加えておくと良いでしょう。
- PCやスマホ、タブレットなどのパスワード
- PCやスマホ、外付けHDDなどの処分について
- ネットショッピングやオークションのID・パスワード
- LineやSNSのID・パスワード・追悼アカウントへの希望
- 動画など有料サイトのID・パスワード
- メールのID・パスワード など
2-18. ホームページやブログなどがある場合
デジタルデータの遺品整理についての補足となりますが、もし「ホームページ」や「ブログ」などで情報発信している場合には、そのアカウント情報について記しておきましょう。
さらに、こうした自身のメディアについては、最後に「視聴者へのメッセージ」を家族の方に掲載してもらってから閉じるなど、最後の配信についての希望を残しておくと良いでしょう。
- ホームページのID・パスワード
- ブログのID・パスワード
- 死後の取り扱いについての希望 など
2-19. 習い事など教室やサークルの連絡先について
充実した毎日を送るために通っていた、教室やサークル、カルチャークラブの連絡先についてもまとめておきましょう。
さらに、茶道教室や料理教室、スポーツクラブや写真クラブ、カラオケ教室などでの活動やその思い出、お世話になった人へのメッセージについて、こちらのトピックに残しておくのも良いでしょう。
- 趣味の教室の連絡先・活動記録・メッセージ
- スポーツクラブの連絡先・活動記録・メッセージ
- カルチャークラブの連絡先・活動記録・メッセージ など
2-20. 遺言書の有無と種類について
ここからは相続について残しておきたいメッセージを紹介していきます。まずは、相続について自分の意思を示す「遺言書」についてですが、この有無について記しておきましょう。
さらに、遺言書がある場合には、その種類についても書き残しておくと良いでしょう。また「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」の場合にはその収納場所も記しておきましょう。
- 遺言書の有無
- 遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)
- 自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合はその収納場所
- 遺言書作成に携わった専門家の名前・連絡先
- 最寄りの公証役場の連絡先
2-21. 自分の資産についてまとめておく
自分の資産について、エンディングノートに書き残すことはとても大切なことです。なぜなら、あなたが残した遺産さんについて、家族の方が一から調べるという負担がなくなるからです。
銀行の「預貯金」をはじめ、「不動産」や「株」などプラス資産の一覧をしっかりとまとめておくことで、スムーズな相続にもつながるはずです。
そのほかに、離婚歴があり「別居しているい子供」がいる場合には、その名前や連絡先なども記しておきましょう。
- 預貯金のある銀行名・支店名
- 有価証券の届出書・報告書など関連書類の収納場所
- 不動産の登記済権利書の収納場所
- そのほかの資産の収納場所(車・宝石・金・骨董品)
- 年金 など
2-22. 人にお金を貸している場合
プラスの資産の中には、誰かに「お金を貸している」という場合もあるかもしれません。その際には、誰にいくら貸しているかを記しておきましょう。
また、その「立証資料(契約書)」の収納場所も残しておきましょう。もし口約束だけの場合には相続人が請求しやすいよう生前に契約書を作成しておくと良いでしょう。
- 貸付金の有無
- 貸した相手の名前・所在・連絡先・金額
- 契約書の収納場所 など
2-23. 負債・ローン・借金の有無
資産についてはプラス面に加えて、「負債」や「ローン」、「借金」の有無についてもしっかりと書き残しておきましょう。
誰かからお金を借りている場合には、その事実が分かるように書くことが大切です。
借金については書きにくいものですが、マイナスのほうが多い相続の場合に、家族は「相続放棄」することも可能です。そのためにもマイナス資産については必ず残しておきましょう。
- 負債・ローン・借金の有無
- 支払先・所在・連絡先・担当者・金額
- 負債・ローン・借金の理由 など
2-24. 遺影写真の有無とその収納場所
ここからは葬儀の希望について紹介していきます。まずは、遺影の有無について、家族に分かるようにしておきましょう。
また、遺影写真を「選んである場合」や「撮影してある場合」には、その収納場所を記しておきましょう。
なぜなら、葬儀自体も身体的にも精神的にも負担がかかるものですが、加えて、遺影写真の一枚を選び、加工業者に依頼するという作業もまた時間と労力を要するものだからです。
- 遺影写真の有無
- 遺影写真を選んである場合にはその収納場所
- 遺影写真を撮影してある場合にはその収納場所
2-25. 葬儀についての希望を残す
葬儀についてエンディングノートに書かれていると、家族の負担は間違いなく軽減されるものです。ぜひ、わかりやすく大切なことを記していきましょう。
たとえば「葬儀をするのか?」「どんな葬儀にするのか?」「喪主は誰にお願いするのか?」あるいは「葬儀費用について」など、その内容は多岐に渡ります。家族の方と相談しながら書くのも良いでしょう。
- 葬儀をする・しない・家族にまかせる
- 葬儀の規模(家族葬・一般葬・密葬・火葬のみなど)
- 葬儀の形式(仏式・神道式・キリスト教式・無宗教など)
- 葬儀場の希望がある場合(自宅・寺・斎場など)
- 焼香や献花の希望(伝統的焼香・献花など)
- 戒名を希望する・しない・持っている
- 喪主を依頼したい人の名前・連絡先・メッセージ
- 施主を依頼したい人の名前・連絡先・メッセージ
- 弔辞を依頼したい人の名前・連絡先・メッセージ
- 費用について(資金の有無・詳細) など
2-26. 生前予約をしている場合
葬儀について「自分の納得のいくものにしたい」「家族に費用の心配をさせたくない」という方は、葬儀の生前予約をしているかもしれません。
その場合には「生前予約の有無」や「葬儀の内容について」、「葬儀社の名前・連絡先」などを記しておきましょう。また、内容については事前に家族の同意を得ておくほうがスムーズです。
- 生前予約の有無
- 契約内容
- 葬儀社の名前・連絡先・担当者名
- 契約書の収納場所・見積書の収納場所
- 支払いの有無・費用の収納場所・領収書の収納場所 など
2-27. 葬儀に関するそのほかの希望
葬儀について、自分らしくできるところは自分らしくしたいという方は、そうした希望についても家族に書き残しておくと良いでしょう。
たとえば「棺には大切にしていたものを入れてほしい」であったり、「好きな音楽をかけてほしい」、「好きだった花でいっぱいにしてほしい」、「メモリアルコーナーを設置してほしい」など、様々な希望について記しておきましょう。
- 副葬品の希望(手紙・生花・写真・愛用品・趣味の道具・冥銭など)
- 音楽の希望(曲名・音源・収納場所・使用についての詳細など)
- メモリアルコーナーを設置する・しない
- 通夜の形式(身内のみ・一般的な通夜など)
- 香典返しの希望 など
2-28. 訃報を知らせたい人、葬儀に呼んでほしい人
自分が最期を迎えた際に、すぐに連絡が取れるよう自分の最後を知らせたい「親族」や「友人」、「お世話になった人」の連絡先をまとめておきましょう。
特に友人関係のリストには、学校の同級生だったり、仕事仲間や趣味の付き合いなど、自身との関係性やエピソードについても書き添えておくと、家族の方も連絡しやすいです。
- 訃報を知らせたい人の名前・連絡先・住所・関係性
- 葬儀に呼んでほしい人の名前・連絡先・住所・関係性
2-29. お墓の有無について
お墓がすでにある場合には、たとえ家族の方が知っている場合でも、あらためてその詳細についてまとめておきましょう。
また、菩提寺やお墓がまだない場合には「永代供養納骨堂」や「合祀の永代供養塔」なども視野に入れて、希望する納骨形式を決めておくと良いでしょう。
- お墓の有無
- お墓の名前・連絡先・住所
- お墓がない場合の希望(菩提寺・霊園墓地・永代供養納骨堂・合祀の永代供養塔など)
- 墓石についての希望
- お墓、墓石がない場合の費用について など
2-30. 特別な散骨について
自分の遺骨をお墓へ埋葬するのではなく、特別な散骨を希望する場合もあるかもしれません。そのような場合には、家族が揉めることのないように、しっかりとその意思を残しておきましょう。
たとえば近年では「海洋散骨」や「樹木葬」といった方法を選ぶ方も増えています。さらに、「宇宙葬」といった個性的な散骨法もあり、埋葬方法も多様化してきています。
また、特別な散骨を行う際の供養の方法、手元供養などは、事前に家族と相談した上で決めるとスムーズです。
- 散骨についての希望(海洋散骨・樹木葬・宇宙葬など)
- 散骨地の希望
- 生前契約の有無・会社名・連絡先・契約書の収納場所
- 手元供養についての希望 など
ここまで、自分らしく残しておきたい「おすすめのメッセージ」について紹介してきました。自分の気持ちを素直に書き記すこうした作業を通じて、本当に自分が残したかった言葉に気づくこともあるかもしれません。
3.これだけは押さえておきたい3つのポイント
エンディングノートは自身の最後についてを見つめ「自分の人生についてを記し」「自分の死後の希望を書き残し」「家族の負担軽減に役立つ情報をまとめる」など、あらゆるメッセージを伝えるための終活です。
しかし、ノートを書き進める際に、3点ほど注意しておきたいポイントがあります。ここでは、エンディングノートを残す際にこれだけは押さえておきたい注意点について解説していきます。
3-1. エンディングノートに法的な効力はない
エンディングノートを書く際に最も注意しなければならないことは、エンディングノートには「法的な効力はない」という点です。
そのため、自分の希望する相続を遂行するためには「法的な効力のある」遺言書と併せて用いることをおすすめします。
また、遺言書の書き方には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」があり、自筆証書遺言であれば、その要件を満たすことでエンディングノート内に書き残すことも可能です。
遺言書の書き方について詳しく知りたい方はこちら!:「もう迷わない!種類別遺書・遺言書の書き方と全知識」
3-2. 大切なモノの収納は家族と共有しておく
エンディングノートを書き始めたら、家族の誰かにそのことを伝え、「収納場所」についても共有しておきましょう。なぜなら、素晴らしいエンディングノートを書きあげたとしても、その存在が家族の目に触れなければ意味がないからです。
また、いつ必要となるか分からない「健康保険証」などは、その収納場所をあらかじめ家族と共有しておくと良いでしょう。
さらに、キャッシュカードなどの「暗証番号」については、もしもに備えてノートに書かないことをおすすめします。
3-3.一度書いて終わりではない
たとえば、エンディングノートを一度書きあげたとしても、半年後や一年後に「気持ちが変わったり」、「状況が変化」していることもあり得ます。
つまり、ノートは書きあげたら終わりではありません。半年、または、一年に一度くらいのペースで定期的に見直してみてください。「書き足したり」、「書き直したり」、自分らしいノートをゆっくりと作っていきましょう。
エンディングノートは、本来、自由に書き進めて良いものですが、こちらで紹介したポイントについて心に留めておけば、より良いノートがきっと作れるはずです。
4.おすすめのエンディングノート7選
終活の一環として、エンディングノートを残すことの大切さについて考える人が増えてきました。そのため、誰にでも書きやすい様々なノートが1,000円ほどで手に入るようになってきています。
ここでは、エンディングノートとして人気が高く、機能的なタイプのものをいくつかピックアップしてみました。ぜひ、ノートを選ぶ際の参考にしてみてください。
4-1. もしもの時に役立つノート
『もしもの時に役立つノート』は、文房具メーカーとして知られるコクヨから発売されているエンディングノートです。入院や相続などの際に、家族が困らないよう情報を分かりやすく残しておけます。
資産情報をはじめ、医療や介護、相続や年金、葬儀やペットについてなど、残しておきたい基本情報を網羅しています。また、思い出の写真や動画を記録したCD-Rを1枚収納できるケースが付属します。
さらに中紙には、なめらかな書き心地の「コクヨ帳簿紙」を採用しています。
4-2. 一番わかりやすいエンディングノート
『一番わかりやすいエンディングノート』は、終活セミナーでの3,000人の受講者の声をもとに、そのノウハウを一冊にまとめたものです。
終活の流れに合わせて構成されているため、順番に書き込んでいけば、誰でも迷わずにノートを書きあげられます。さらに、暗証番号などを保護する「スクラッチシール」や「マル秘カード」が付属します。
4-3. 家族に伝える終活安心ファイル
『家族に伝える終活安心ファイル』は、いわゆるエンディングノートと言うよりは、家族に残しておきたいメッセージや重要書類、大切なモノを一冊にまとめておけるエンディングファイルと言ったほうがしっくりときます。
付属のシートには、資産についてや葬儀についての希望を書き残すことができるほか、預金通帳や生命保険証書、遺言書といった重要書類をそのままファイルしておけることが大きな特徴です。
さらに、写真用のポケットシートには、遺影用の写真などを残しておくと良いでしょう。
4-4. プレシャス・エンディングノート ~私の大切なノート~
『プレシャス・エンディングノート~私の大切なノート』は、テレビ出演でお馴染みの大渕愛子弁護士が監修を務めており、大切な記憶をたっぷりと書き残せる「女性のニーズ」に応えた一冊になっています。
自分を見つめなおす「大切な記憶」をはじめ、家族や友人への「大切な思い」、資産や個人情報をまとめる「大切な記録」、連絡先をまとめる「大切なひと」、医療や葬儀の希望を記す「もしものとき」の5部構成で、自由な感覚でまとめられるよう配慮されています。
4-5. 永く保管するものだから丈夫でおしゃれなものがいい 心理カウンセラー&終活ライフケアプランナーが作ったエンディングノート
『永く保管するものだから丈夫でおしゃれなものがいい 心理カウンセラー&終活ライフケアプランナーが作ったエンディングノート』は、実際のユーザーたちの声をもとに、心理カウンセラー&終活ライフケアプランナーが作ったエンディングノートです。
中紙には高級感のある真っ白な上質紙を使用しており、各項目ごとにメモ欄を設けています。また、白紙ページを設けているので、書き足したり写真を貼るなども可能です。文字も大きめで分かりやすく、作りも丁寧です。
4-6. 星の王子さま エンディングノート
『星の王子さま エンディングノート』は、星の王子さまと一緒に旅をしながら人生を見つめ直し、大切なことを書き記していくためのノートです。
シンプルなデザインのノートには、星の王子さまのかわいいイラストや、旅を導いてくれる名言がちりばめられており、大きくて書きやすいノートスペースも備えています。
本棚に置いてあっても違和感のない一冊です。
4-7. マイウェイ
『マイウェイ』は、テレビやマスコミなどでも取り上げられている終活カウンセラー協会が発行しているエンディングノートです。こちらは書店で購入することはできません。
表紙をはじめ中面も優しいデザインが採用されています。また、文字も大きくて分かりやすく、書きやすい構成になっています。高齢者の方に向け、使いやすさを考慮した一冊です。
まとめ
ここまで、エンディングノートの「おすすめの書き方」や「注意すべきポイント」「家族に残しておきたいメッセージ」などについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。
エンディングノートは、自分についてのあらゆることを「自分らしく書き残すためのもの」ですが、書き記しているうちに「自分の人生」を見つめ直すキッカケにもなる作業です。
この記事を参考にして、ぜひ、あなたらしいエンディングノートを書きあげてください。
また、エンディングノートだけでなく、終活についてもっと知りたいという方は「終活はいつから?最高の終活をするための全知識を世代別に解説!」も読んでみてください。
この記事があなたの終活に役立つことを心から願っています。
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