もう迷わない!種類別遺書・遺言書の書き方と全知識

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遺書 遺言書

「遺書の書き方を知りたい!」「遺言書の書き方は決まっているの?」など、遺書や遺言書について気になっていませんか。

結論から言うと、遺書は法的制約を受けないので、自由に書くことができます。

また、相続などに関することは、法的制約を受ける遺言書として書かなければいけません。

このページでは、終活アドバイザーとして100人以上の終活をサポートしてきた私が、遺書・遺言書の書き方について、以下の流れで解説していきます。

  1. 遺書と遺言書の違い
  2. 書く前に必ず知っておくべき3種類の遺言書
  3. 【例文付き】遺言書の書き方
  4. 遺言書作成を頼める5つの専門家を比較
  5. 遺言書を書く時に4つの注意点

全て読めば、遺書・遺言書の書き方についてわかるでしょう。

1. 遺書と遺言書の違い

遺書と遺言書は、法的制約を受けるか否かの違いがあります。

そのため、内容によって遺書ではなく遺言書にしなければならないことがあります。

この章では、以下の順で遺書と遺言書について説明していきます。

  • 遺書とは
  • 遺言書とは
  • 遺書と遺言書にできること

1-1. 遺書とは:法的制約を受けない文書

遺書とは、法的制約を受けない文書のことで、手紙のような扱いになります。

また、遺書に決まった書き方はなく、自由に書いて大丈夫ですが、相続などについて書いたとしても、法的効力を持たないので注意が必要です。

一般的な内容としては、以下の4つが挙げられます。

  • 生前の想い
  • 感謝の言葉
  • 葬儀のリクエスト
  • 死後の頼み事

一般的に想像がつく、相続に関することなどを記すものは、遺言書のことを指していて、遺書に書いているものは約束されないことを理解しておいてください。

1-2. 遺言書とは:法的制約を受ける文書

遺言書とは、法的制約を受ける文書のことで、書き方や作成方法などが細かく決められています。

そのため、相続などに関して意思を示したい場合は、遺書でなく遺言書でなければなりません。

また、方式に沿わない形で遺言書を書いたとしても、法的効力を持たないので注意が必要です。

1-3. 遺書・遺言書ができること

「遺書」のできることは、感謝の思いを伝えるなど、法的制約に関係ないものに限られます。

「遺言書」にできることは、大まかにまとめると、以下の11個です。

  • 相続人以外への遺贈
  • 寄付
  • 相続分・遺産分割方法の指定
  • 遺産分割の禁止
  • 遺留分減殺方法の指定
  • 遺言執行者の指定
  • 婚外子の認知
  • 推定相続人の廃除・またはその取消し
  • 後見人・後見監督人の指定
  • 生命保険金受取人の指定・変更
  • 祖先の祭祀主宰者の指定

遺贈:遺言によって法定相続人以外にも財産分与をすること

遺書と遺言書では、法的制約を受けるか否かの違いによって、できることが大きく異なります。

遺書と遺言書の違いを表にまとめたので、参考にしてください。

←スマホの方はスクロールできます→

 法的制約書き方の決まり内容
遺書受けない自由自由(法的効力を持たない)
遺言書受ける細かく決められている自由(法的効力を持つ)

以上のことから、何か効力を持たせたいものがある人は、遺書よりも遺言書として書き残すべきといえます。

遺書の書き方は自由なので、ここからは遺言書の種類と書き方について詳しく説明していきます。

2. 書く前に必ず知っておくべき3種類の遺言書

遺言書は以下の3種類あり、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が一般的な作成方法です。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

これらの種類ごとに書き方が決まっていて、間違った手順で書くと法的効力を持たないので注意しましょう。

それでは順に紹介していきます。

2-1. 自筆証書遺言

自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)とは、自分自身の没後用に作成する遺言書のことです。

本人が字を書ける状態であれば、遺言書を書くだけで済むので、3つの中で最も費用を抑えられます。

ですが、必須項目など細かい決まりがあるため、一つでも不備があると無効になってしまうので、注意が必要です。

補足

遺言を残したい本人が生きているけど、遺言書を書くことができない状態の場合、代筆を依頼することも可能です。

2-2. 公正証書遺言

公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)とは、公証人関与のもと作成する方法であり、最も確実な遺言書です。

内容の不備によって遺言書が無効になることがなく、さらに公証人や証人が関与するため、本人の意思と関係のないことが書かれることはありません。

しかし、公証人や証人に報酬を支払い、財産を公開しなければならないなどデメリットもあります。

2-3. 秘密証書遺言

秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)とは、自分で遺言書を作成し、公証役場にてその存在を証明してもらった遺言書です。

内容は本人以外誰も見ることができなまた、遺言書が発見されないといった場合もありえます。

さらに、手数料がかかること、内容を確認しないため遺言書自体が無効になる恐れがあるといったデメリットがあり、現在では利用者がとても少ないです。

2-4. 複数の遺言書が見つかった場合は「日付」が優先される

上記で説明した遺言書は、複数作成可能です。

ですから、故人の遺言書が「2つ見つかる」ということも稀にあります。

その場合の優先度は、遺言書が作られた日付が最も遅い(故人が最後に書いた)遺言書が有効です。

  • AにXX(故人の名前)の財産を1/3相続する(作成日:2000年1月1日)
  • BにXX(故人の名前)の財産を1/3相続する(作成日:2000年4月1日)←有効〇

例のように、相続に関して内容が重複している場合、作成日時が遅いものが優先となります。

ですが、内容が重複していない場合は作成が遅くなくても有効となる場合があります。

(民法1023条)遺言書が複数ある場合
「前の遺言が後の遺言と抵触する時は、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」

3. 【例文付き】遺言書の書き方

遺言書は、種類ごとに決まりや書き方があります。

この章では各遺言書の書き方について以下の流れで説明していきます。

  • 自筆証書遺言の書き方
  • 公正証書遺言の書き方
  • 秘密証書遺言の書き方

また、自筆証書遺言の例文を作成したので参考にしてください。

遺言書 例文

 

3-1. 自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言には、6つの要件があります。

  • 全文自筆
  • 日付の自書
  • 署名
  • 押印
  • 内容の変更
  • 解釈可能で曖昧でないこと

これらは必須項目であり、満たさなければ無効になってしまうので注意しましょう。

順に紹介していきます。

全文自筆

自筆証書遺言は、一部を除き全文自筆でなければならず、代筆・録音・録画・パソコンなどは無効になります。

しかし、法改正により、財産目録に関しては署名押印をすることでパソコン・代筆・登記簿謄本や通帳のコピーで作成可能となりました。

財産目録:財産内容の明細書

また、紙や筆記用具に関しては何も決まりはないですが、破損や改ざんに備えて丈夫な紙に、油性ペンや万年筆で書くと良いでしょう。

日付の自書

作成した日付の自書がなければ、無効になってしまうので注意しましょう。

遺言書は複数ある場合、日付が新しいものに効力があるので日付が必要です。

さらに、日付の書き方が曖昧であったり、自書でないと無効になってしまいます。

署名

誰の遺言なのかを明らかにするために、自筆で署名をしなければなりません。

署名は、遺言者が特定できればペンネームなどでも大丈夫ですが、誤解を防ぐためにフルネームが好ましいです。

また、署名をするのは1名のみなので、夫婦共同での遺言書は作成できません。

押印

署名と同じ理由で押印もしなければなりません。

ですが、実印でなくともよく、認印・拇印・指印でも可能です。

しかし、実印があるのであれば実印のほうが好ましいです。

内容の変更

遺言書の内容を変更したい場合は、所定の方式で行わなければ無効になってしまいます。

具体的には、訂正箇所に二重線を引き、その上に押印をしたのち、横に正しい文字を書いて、遺言書の末尾に訂正内容を記載するという流れです。

このように、遺言書の訂正はとても細かいので、初めから書いたほうが確実です。

解釈可能で曖昧でないこと

遺言書の内容は、他人が読んで明確に意味が分からなければなりません。

例えば、土地に関して書く場合は登記簿で、預金に関して書く場合は支店名や口座番号で書く必要があります。

また、相続の割合などもどれくらいかわかるように書かなけば、争いのもとになってしまいます。

2020年7月10日より自筆証書遺言を法務局で保管する制度が施行されます。

この制度を利用すれば、紛失や不備といった心配がなくなります。

3-2. 公正証書遺言の書き方

公正証書遺言ができるまでの流れは、以下の通りです。

  • 遺言内容の検討と原案の作成
  • 公証人と打ち合わせと資料集め
  • 立ち会ってもらう証人2人を依頼
  • 公証役場にて遺言書作成
  • 公証人に手数料を支払う

順に説明していきます。

遺言内容の検討と原案の作成

公正証書遺言は公証人が記載しますが、内容が適切で不備がないかチェックされるので、あらかじめ遺言内容を考え、原案を書いておきましょう。

どの財産を誰に、どのくらい相続させるのかなどといったことが検討内容です。

また、公証人に遺言の内容を相談できないので、自分自身で決めるか専門家に相談しましょう。

公証人と打ち合わせと資料集め

公証役場に連絡し、原案が適切かどうかチェックしてもらいます。

その際、必要になる書類を公証人から教えてもらえるので、必要な資料を集めましょう。

一般的には、印鑑証明・戸籍謄本・住民票・不動産登記簿などになります。

立ち会ってもらう証人2人を依頼

公正証書遺言を作成するには、証人が最低2人必要なので、適切な人を依頼しましょう。

以下の3つの条件のいずれかに当てはまる人は、証人になれないので注意が必要です。

  • 未成年
  • 推定相続人、受遺者並びにこれらの配偶者、直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

また証人が見つからない場合は、公証役場に相談すれば適切な人材を日当を支払うことで紹介してもらえます。

公証役場にて遺言書作成

公証役場にて、遺言者本人が公証人・証人2人に対し、遺言の内容を伝えます。

その内容を公証人が文書にし、内容が間違っていないか確認したら、それぞれ署名・押印をして完成です。

遺言書は三部でき、そのうち正本が遺言者に渡されます。

公証人に手数料を支払う

公証人に支払う手数料は、財産の額によって変動します。

財産の金額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1,000万円以下17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下29,000円
5,000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下43,000円+超過額5,000万円ごとに13,000円
3億円を超え10億円以下95,000円+超過額5,000万円ごとに11,000円
10億円を超える場合249,000円+超過額5,000万円ごとに8,000円

また、遺言者本人が病気や高齢のために公証役場に行けない場合、上記の50%と交通費を支払うことで来てもらうこともできます。

さらに、印鑑証明書・登記簿謄本・戸籍謄本といった必要書類にかかる費用も考慮しましょう。

3-3. 秘密証書遺言の書き方

秘密証書遺言を作成するまでの流れを、次の2つの項目ごとに説明します。

  • 遺言書の作成
  • 公証人に証明してもらう

遺言書の作成

遺言書を作成する要点は、自筆証書遺言と似ています。

しかし、秘密証書遺言の場合は、署名以外の本文はパソコンでの作成や代筆が可能で、日付の記載も不要です。

そして、遺言者が封筒などに遺言書を入れ、遺言書に押印したものと同じ印鑑で封印すれば遺言書は完成です。

公証人に証明してもらう

公証役場に証人2人以上と向かい、自分の遺書であることを伝えると、公証人と証人が必要事項を記入してくれ、返却されると秘密証書遺言は完成です。

また、以下の3つの条件のいずれかに当てはまる人は、証人になれないので注意が必要です。

  • 未成年
  • 推定相続人、受遺者並びにこれらの配偶者、直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

費用については、11,000円の公証人手数料がかかります。

これまで、遺言書の種類や書き方を説明してきました。

もし、あなたが今急いでいたり、実際に「作ってみたけど難しくて自分じゃできない」という場合は、遺言書の作成を専門家に依頼することをおすすめします。

4. 遺言書作成を頼める5つの専門家を比較

遺言書の作成を頼める専門家は主に以下の5つです。

  • 弁護士
  • 行政書士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 信託銀行

遺言の内容や費用によって、どの専門家を頼るべきかが変わります。

あなたがどの専門家に頼めばいいのか、詳しく説明していきます。

4-1. 相続争いが予想されるなら弁護士

弁護士は、相続争いといったことが予想される方におすすめです。

紛争や訴訟になった場合、代理人として交渉ができるのは弁護士だけが持つメリットです。

しかし、費用は高めに設定されており、遺産の大きさに応じて高額になります。

以下のポータルサイトであれば、全国どの地域に住んでいてもおすすめの弁護士を見つけられるのでおすすめです。

MAHOROBA(弁護士ポータルサイト)

4-2. 費用を抑えたいなら行政書士

行政書士は、書類作成の専門家であるため、遺言書作成の支援も行っています。

遺産の大きさにかかわらず、安価な金額で依頼ができます。

ですが、相続に関する諸問題が起きた時に対処ができないので、以下のサイトで自分に合いそうな行政書士を見つけて事前に問題にならないか確認しましょう。

サムライウェブ(士業検索ポータルサイト)

4-3. 相続税が不安なら税理士

相続税に不安がある場合、税のプロフェッショナルである税理士に頼むのがおすすめです。

複雑な計算や申告も代理してもらえる、生前から節税対策ができるなどのメリットがあります。

しかし、遺言作成を業務としている税理士が少ない、訴訟などの問題に対処できないというデメリットもあります。

税理士ドットコム(税理士ポータルサイト)

4-4. 不動産に関する相続なら司法書士

不動産の相続に関して不安があるなら、登記の専門家である司法書士がおすすめです。

法律に関しても精通している、費用が安価なのが強みです。

しかし、相続登記が専門なので、不動産の相続がないと依頼ができないことに注意しましょう。

サムライウェブ(士業検索ポータルサイト)

4-5. 気軽に相談に行ける信託銀行

信託銀行では、遺言信託を行っているので、遺言書の作成に関するほとんどをしてもらえます。

士業よりも身近な存在なので、気軽に相談しやすいです。

しかし、費用が士業よりも高めに設定されているので、高くなってしまうことに注意しましょう。

上記の4つとは異なり、まずは身近な信託銀行へ足を運ぶことをおすすめします。

5. 遺言書を書くときに4つの注意点

遺言書を書く時は、以下の4点に注意しましょう。

  • 遺言内容に関して付言する
  • 遺留分に気を付ける
  • 遺言執行者を指定する
  • 不測の事態に備える

順に説明していきます。

5-1. 遺言内容に関して付言をする

残された家族が争わないように、遺産分割の方法や意図を付言しておくと良いでしょう。

この付言は法的効力を持ちませんが、理由や意図があったほうが家族は納得するはずです。

また、葬儀のリクエストや感謝の言葉なども書いておくとより良いです。

5-2. 遺留分に気を付ける

遺留分を無視した遺言は、かえって争いの種になるので注意しましょう。

遺留分:相続人に保障された一定割合の相続財産

仮に、遺留分を侵害した割合を相続・遺贈する内容の遺言だった場合、相続人は遺留分相当の割合を主張できますが、遺言書自体も有効であるため、両者間で争いが生まれてしまいます。

このような状況にならないために、遺留分について十分に考慮しましょう。

5-3. 遺言執行者を指定する

遺言執行者は後で決めることもできますが、遺言内容を円滑に進めるために指定しておくほうが良いです。

遺言執行者:遺言の内容を実現させるために手続きなどをする人

遺言執行者を事後選任するには、家庭裁判所に申し立てをしなければいけないので、指定したほうが残された家族のためになります。

また、遺言執行者は遺言でなければ指定できないので、忘れずに記載しましょう。

5-4. 不測の事態に備える 

遺贈や相続させようとしていた人が先に亡くなるなど、不測の事態に備えるようにしましょう。

遺贈・相続させたい当人が亡くなった場合、だれが代わりになるのかといったことを記載しておくと、争いにならずに済みます。

実際に不測の事態によって争ってしまうケースはあるので、忘れないように書きましょう。

最後に

遺書とは法的制約を受けない文書であり、何をどのように書いてもかまいません。

しかし、相続などの法的処理が必要なものは、遺言書である必要があります。

遺言書の作成で、専門家に頼みたい場合は以下のサイトから探すのがおすすめです。

終活を通して、あなたが最高の人生を送れることを陰ながら祈っております。

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